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一晩中、雨だれの落ちるような「ぽつ、ぽつ」という音が聞こえていた。眠っている頭で「あー雨が降っているんだなあ」と考えていた。だから起きて外を見るとき全く天気に期待はしていなかった。フライシートをまくると・・やっぱり天気は良くない。というか濃い霧が立ちこめている。でも予想に反して雨は全く降っていないし、さっきまで降っていた気配もない。でも「ぽつ、ぽつ」という音は今でも聞こえている。あれは何の音だろう。音がする木の方を見てみて分かった。霧が葉っぱに付着し、徐々に溜まって水玉になり、それが降って雨のような音をたてているのだ。天気はいまいちだが雨が降って無くて良かった。
みんなが起きてから朝食にする。キャンプ場といっても特別の準備をしているわけではない。昨晩買ったコンビニのおにぎりとパン、カップスープなどである。朝食が終わる頃、だいぶ霧も晴れてきた。しかし青空は現れない。変わり映えのしない曇り空である。食事が終わるとすぐにテントの撤収にかかる。
今日の予定は決めている。釧路まで行くのだ。子供達のために「釧路市動物園」に行こうと思っている。でも決まっているのはここまで。動物園の後は全く未定である。釧路まではここから100km足らず。決して遠い距離ではないがここでゆっくりする理由もない。早く出発しよう。9時頃には撤収完了。出発である。
photo1 昨日食事したワイン城であるが、記念写真を撮っていなかったことを思い出した。そこで写真だけを撮りに立ち寄ることにする。昨日は裏の駐車場に止めたので分からなかったのだが、表側は城に続く歩道がきれいに整備してあって、ここからだと確かに城に見える。塔の部分に付いている巨大なリボンがなかなかおしゃれである。振り返って十勝平野を眺めてみるがやっぱり視界は良くない。

池田ワイン場

photo2 photo3

十勝平野をバックに

お猿さんポーズ

下には駅が見える。池田町の駅であろうか。特急が駅にやってきた。駿一は大喜びしている。本当に駿一は電車が好きである。
photo4 電車を見送ってから我々も釧路に向かって出発だ。しばらくは国道から外れた、畑の中を走る。トウモロコシや豆やジャガイモなどの畑が車窓に広がる。特にジャガイモは今花が咲く季節である。「ジャガイモの花」は初めて見たがきれいなものである。白い小さな花が遠くまでずっと広がる。素晴らしいの一言につきる。それにしても北海道の畑は1枚がすごく広い。天気のせいもあるが奥の方がうっすらと霞んで見えるほどである。

ジャガイモの花

しばらくして国道38号(通称「十勝国道」途中からは「釧路国道」に変わる)に合流。一路釧路を目指す。釧路動物園は釧路から15km程手前の郊外にある。釧路空港も近い。そのことを母ちゃんに話すと、釧路空港に寄りたいという。「ロイズの生チョコ」が食べたいのだそうだ。私もよく知らなかったのだが、ロイズの生チョコは大変おいしいそうで、北海道では札幌の百貨店か道内の主要空港しか売っていないらしい。こうゆうところに母ちゃんはぬかりない。通り道なのでまあいいかと、とりあえず空港に立ち寄ることにしたが、なんと空港は祭りのようなイベントの真っ最中で簡単に車を駐車できそうにない。あきらめて動物園に向かう。
11時頃動物園に到着。日曜日であるが、人はそんなに多くなさそうである。駐車場を夾んで動物園の反対側には、薄いピンクの建物が見える。釧路動物園のホームページでも紹介していた温泉「山花リフレ」だろう。子供達は動物園の中に見えている遊園地に気をとられている。「今日乗るのは1個だけよ」と今のうちに子供達に釘を刺しておく。
チケット売場で山花リフレとのセット券を買って動物園の中にはいる。すぐに遊園地の方へ走って行きそうになる子供達を「後で、後で」となだめて動物園のほうへ行く。釧路市動物園はさすが北海道の動物園だけあって結構広い。動物の種類は多くないのだが、檻と檻の間隔がゆったりとってあるので広々と感じる。(動物園の敷地にお墓があるのにはちょっとびっくりしたが)。
まずは子供動物園(ここでは馬や山羊やウサギなどと触れ合える)、次にレッサーパンダ、お猿さんたちを見学し、熊舎へ行く。ここでは熊達に餌を与えることができる(もちろん有料)。熊達はちょこんと座って待っており、誰に教えてもらったのか「お願いします」と言うように両手をあわせたりもする。 なかなか人間的な感じがしておもしろい。しかし子供達は遠くに餌を投げられないので、お願いしていた熊には結局一個も届かなかった。
そうこうしているうちに昼になった。園内に一軒ある食堂で食事をとることにする。食べていると突然ザーと雨が降ってきた。またか・・。今更雨が降っても全然驚かない。でも気分はちょっと暗くなる。幸運なことにこの雨は食事をしている間に上がってしまった。やれやれ。
この食堂は遊園地エリアにも隣接していて、ほぼ目の前に観覧車がある。観覧車は駿一が目を付けていた乗り物である。もはやこれまで。駿一には勝てず、観覧車に乗りに行くことにする。観覧車のゴンドラがゆっくりと上がって行くにつれ、釧路湿原の雄大な眺めが・・全く見えない。先ほどの雨のせいか、あたりが霞んだようになっている。遠くは全然見えない。残念。
photo5 観覧車をおりると、奈菜が遊園地内の乗り物の物色を始める。しかしここにはお目当ての遊具はなさそうである。奈菜の楽しみは後に置いておいて、動物園の続きを見ることにする。アザラシ、象、シマウマ、キリンなどをみて 「木道散策路」へ向かう。この木道散策路は釧路動物園の大きな特徴だと思う。森の中に湿原があって木でできた遊歩道が整備されてあり、ゆったりと散歩気分で歩くことができる。途中にはタンチョウの人工営巣地を見ることもでき、最後には白鳥達が観察できる池に出る。ゆっくり歩いても10分弱の距離だが、気持ちの良い道である。

木道散策路

さてこれで動物園は一通り終わった。最後に出口のところにあった、奈菜のお気に入りのメリーゴーランドに乗る。最近は二人とも付き添いなしでも怖がらずに馬に乗るようになった。手を振る余裕すらある。でもどちらかといえば駿一の方がくつろいでいるような・・。
動物園を出て一旦車に戻り、着替えなどの用意をして山花リフレに向かう。山花リフレは温泉だけでなく、レストランや宿泊施設も備えている立派な施設である。温泉の方に行くと3時過ぎという時間にも関わらず、結構人が多い。今日が日曜日だからであろうか。きれいな施設だけあって、近所の人たちにも人気なのだろう。
浴場の中にはいる。浴場は「山の湯」と「花の湯」があって、日によって男湯と女湯が入れ替わるらしい。今日は男が山の湯である。中に入ると外で想像していたよりすいている。お湯は透明でなめると塩辛い湯である。湯船は色々あってジェットバスや露天風呂もある。広いしきれいだし、時間はたっぷりある。ゆったりと湯につかる。「あー気持ちいい」
風呂から上がって畳の休憩室に行く。相変わらず人が多い。皆風呂から上がってくつろぐのだろう。それにしても風呂上がりはのどが渇く。売店で売っていた生ビールを思わず買ってしまった。「うまいっ!」まるでビールのコマーシャルみたいな感じである。幸せである。子供達もそれぞれジュースを買ってもらって満足そうである。
4時過ぎに山花リフレを出発し釧路市街に向かう。釧路といえば炉端焼きである。聞くところによると釧路は炉端焼きの発祥地で、炉端の店も多いし、また海に近いので魚介類が新鮮でうまいらしい。店もガイドブックで狙いを付けておいた。
市街に近づくにつれ交通量が増え、信号も多くなってきた。郊外のように気持ちよく走るわけには行かない。思っていたより時間がかかってしまった。車を駐車場に入れ、歩いて店探しをすることにした。うとうとしかかっていた子供達も寝入らずになんとかもってくれた。
歩いてすぐにこぎれいな炉端焼きの店が見つかった。引き戸が少し開いていたので覗いてみると誰も客はいない。おまけに照明が暗くてちょっと入りにくいか、しかし意を決してこの「番小屋」という店に入った。やっぱり客は誰もいない。でも店の人(おばちゃんが3人程)は、愛想良く迎えてくれる。ちょっと安心した。店の中も名の通り漁師が使う番小屋をイメージしているのか薄暗くしてあって、また鮭の飾りが天井から吊ってあったり、なかなかいい感じである。
さて注文であるが、生ビールというのは当たり前だから置いておいて、「きんき」を注文する。「きんき」は脂ののった深海魚である。10年前に北海道に来たとき、網走でこの魚を食べてそのうまさに感動したことがある。だから北海道で是非食べてみたかった物の一つである。他には「つぶ貝」やたこザンギ(油で揚げたものをここらではザンギと言うらしい。だから鶏の唐揚げは鶏ザンギという)等を注文する。
さてお味の方である。まずきんきは一言で言えば「昔食べたのはもっとうまかった気がする」である。しかし実際にもっと旨いものがあるのか、記憶の中で昔の味を増幅してしまっていたのかは分からない。とはいえ、やっぱりその辺の魚と比べると旨いのは違いない。
photo6 今回意表をついて旨かったのがつぶ貝である。これも昔襟裳岬で食べたことがあるのだが、その時はあんまり旨いという印象はなかった。今回食べたつぶ貝は焼きたてだったという事もあるだろうが、貝特有の苦みが全くなくおいしい。私には貝の先っちょ(内蔵部分)は苦いという意識があるが、このつぶはまるで鶏の肝のような感じでほくほくして美味であった。思わずもう一皿注文してしまった。

つぶ貝

おなかが膨らむと後は寝場所探しである。見当をつけておいたのは釧路市のちょっと郊外にある「春採湖」、そのほとりにある春採公園である。市民病院の脇を入り、何とか公園の駐車場を見つけた。そこにはきれいな公衆便所があって、トイレと水場という条件は満たしている。しかし周りには誰もいないので治安面で不合格である。この場所はあきらめ、結局市民病院の駐車場を今夜のねぐらに決めた。
さて明日は今回の旅行で一番楽しみにしている釧路湿原である。ここ数日は天気予報を見ていない。だから明日の天気は全然予想がつかない。ダメだろうと思う気持ちと、期待する気持ちが半分半分である。結果は明日の朝出るだろう。お休みなさい。

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