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いつもより少し遅く六時過ぎに目が覚めた。布団はやはり寝心地がいい。起きあがって窓の外の様子を見てみる。路面が濡れている。やはり雨だ。仕方がない。今日は昨日決めたとおりに網走に行こう。今晩の宿はどうしようか。今日一日雨だったら今晩も宿にした方がいいかもしれない。テレビをつけて天気予報を見てみる。やっぱり今日一日は雨のようだ。
テレビの音に起こされたのか7時頃には皆起きてきた。身支度を整えるとまもなく朝食の時間である。渡り廊下を渡って道路を挟んだ向こう側にある宴会場に行く。ここが朝食の会場である。メニューはホテルの朝食の定番、バイキングである。味はいまいちだが。腹一杯食べることができるので良しとする。
朝食が終わって部屋に帰り、今晩の宿のことを決める。やはり母ちゃんは宿がいいそうだ。雨なので私にも特に異論はない。そこでガイドブックの中で比較的宿泊料が安かった「網走観光ホテル」に電話する。返事は「お部屋をご用意できます」これで今晩の宿は決まった。
荷物をまとめて出発する。ホテルの玄関を出ると、雨が激しく降っている。 このあたりにも観光地はあるが、この雨では屋外の観光は難しい。仕方ないのでどこにも寄らず、網走まで最短の道を走ることにする。川湯温泉を出て、すぐに屈斜路湖のほとりを通る。雨で湖面が煙っている。子供達に「クッシー を探せ」といってみたが、もし本当にクッシーがいたとしてもこの天気では見つからないだろう。
屈斜路湖の横を走り抜けて美幌峠に向かう。峠への道を登り始めても屈斜路湖はほとんど見えない。晴れていたら絶景が広がっているはずだが、今日はあきらめることにしよう。美幌峠の展望台を横目に見ながらノンストップで通り過ぎる。
しばらく走り、美幌町に入ってきた。 道の両側には白い花が咲くジャガイモ畑の風景が広がる。「俺もゆっくり風景を見たいなあ」と言うと、母ちゃんが「私が運転してもいいよ」と言う。北海道の道は走りやすいし、網走まではあと20km程だ。雨も今はそんなに強く降っていないし母ちゃんでも危なくないだろう。ということで運転を代わってもらうことにする。
後部座席から景色を眺める。やっぱりゆっくりできる。運転席からの眺めも好きだが、後部座席では運転の緊張から解放されて景色を眺められるのがよい。左手に網走湖が見えてきた。網走観光ホテルはこのあたりだろうか。そのまままっすぐ行くと、もうすぐ網走市街だ。網走で最初に行くところは「オホーツク水族館」である。ここには他では見ることができない、流氷の天使と呼ばれる「クリオネ」が飼育されている。
網走市街に入り標識にしたがって左折し、海岸沿いに出てまたしばらく走る。すると水族館が見えてくる。予想していたよりずいぶん小振りな建物である。母ちゃんは車を駐車場に入れる。ご苦労さん。結局母ちゃんが北海道で運転したのはこれが最初で最後だった。ホテルを出たのが遅かったせいでだいたい11時の到着である。
photo1 チケットを買って中にはいる。雨は小降りになっているが、傘がなければ困る程度には降っている。まずは建物の中を見学することにする。お目当てのクリオネは建物を入ったところすぐの水槽に展示してあった。頭と体と羽のようなものがあって、確かに天使ぽくみえる。それがひらりひらりと羽の部分をゆらして泳ぐところはまさに天使だ。最初にこのニックネームを付けた人はなかなかセンスがあると思う。子供達に「これが海の天使よ」と教えてやる。その姿に惹かれたのか子供達はじっとクリオネに見入っている。特に奈菜は熱心で、「かわいいー」とかいって、くいいるように見ている。
次の水槽に向かうが、小さな水族館なので、あまり珍しいものはない。オオカミ魚の水槽の前で、奈菜が「あっ、この魚、切符にあったのと同じだ!」奈菜が持っていた「入場券」を見てみると、確かにオオカミ魚が印刷して有る。大人は全然気がつかなかったのに・・。奈菜はずいぶん観察力がある。
この建物を出て、隣の建物に入る。 ここには「ラッコ」がいる。ただ水が濁っていて、水に潜られるとラッコの姿がはっきりと見えなくなる。もう少し水がきれいだったらいいのにと思うが、まあ仕方ない。
次は外のプールで「ゴマフアザラシ」への餌やりである。100円で缶一杯のイワシ(5,6匹)を買って、アザラシのプールのそばまで持ってくる。子供たちは炭ばさみで魚をつかもうとするが、なかなか上手につかめない。アザラシ達がそばまでやってきて待ち遠しそうに体をくねらせている。清子の手伝いによって何とか中へ投げ入れる。すかさずアザラシはくわえて食べてしまう。なかなかアザラシ同士の餌の取り合いも熾烈である。横取りなんかは当たり前で、プールの真ん中に餌を投げ入れようものなら、プールの外まで水しぶきが飛んでくるほどすさまじい取り合いになる。 photo2

アザラシに餌をあげる

さて無事に餌やりを終えると、水族館は終わりである。出口に向かうが、その前に出口の横にあるおみやげ屋を覗く。奈菜は早速クリオネのマスコットを見つけて「海のてんしー」と叫んでいる。 よっぽどクリオネが気に入ったらしい。
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オホーツク流氷館

水族館を出て次の目的地である天都山へ向かうことにする。天都山は網走市街の南側にある丘のような山である。山頂には「オホーツク流氷館」があり、晴れていれば網走市街から知床半島までの景色が展望台から楽しめる。実は天都山には今まで2回登ったことがある。前回はこの山で野宿もした。だからよく記憶に残っている。前回来たときはとても良い天気で、山頂からの景色を楽しむことができた。でも今日みたいな天気じゃダメだろう。
途中道に迷ったりもしたが(2回も来ていて何で道に迷うんだ?)、何とか山頂にたどり着き、車を駐車場に止めて流氷館に向かう。ここには確かレストランがあったはずだ。お昼ご飯はここで食べよう。レストランに行く前に、建物の最上部にある展望台に向かう。景色はやっぱり最悪だ。知床どころか市街も見えない。早々に切り上げてレストランに向かう。
「展望レストラン流氷」はこの建物の3階にある。中に入ってみると結構混雑している。何とか空いている席を見つけて座る。メニューを見てみると、結構割高な感じである。この店に入ったことを少し後悔したが、他に店はない。ひょっとして、他に店がないから高いのか。とりあえずいくら丼とラーメンなどを注文する。込んでいるせいか、それともアルバイトの店員が不慣れなためか、店員がばたばたと歩き回り雰囲気が非常にあわただしく、ゆっくり食事をする雰囲気ではない。やっと料理が出てきた。予想通りあまりボリュームはない。さっさと食事をすませて出ることにしよう。
食事が終わり、1階に降りてこの施設のメインである流氷館に行く。最初は流氷体験室である。ここは零下15度に冷やされた室内に、本物の流氷を展示してある。部屋に入る前に防寒具と濡れたタオルを貸してくれる。このタオルの用途であるが、室内でぐるぐる回すのに使う。こうするとタオルはすぐにかちかちになってしまう。つまり、流氷の世界がどれだけ寒いか実感できるという趣向だ。早速部屋に入ってみる。
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流氷体験室

部屋の中は・・確かに寒い。入った時はそれほどでもなかったが、時間がたつにつれ、冷気が身にしみてくる。おっとタオルを回さなければならない。タオルを回すと、巻き起こる風がまたすごく冷たい。冬の吹雪には間違っても遭いたくない。タオルは1分ぐらいですぐ固まってしまった。また部屋の中には他にかちかちに凍ったリンゴと釘が置かれていた。凍ったリンゴで釘が打てるという趣向だ。この部屋にも今まで2回来ているが、その時にはタオルもリンゴもなかったような気がする。やはり工夫を凝らしたのだろうか。それとも私が忘れただけか。
流氷体験室を出て、次は映像展示室である。これは網走にやってくる流氷やそれに関わる動物たちの様子を、世界初「3面スーパーワイドハイビジョンシアター」と呼ばれる110インチの大サイズスクリーンに上映するものである。約20分の上映時間であるが、子供達は最近この手の映像でも興味をもっておとなしく見ていてくれる。画面にクリオネが登場したときには「あーっ、海の天使や」と叫ぶ。もうちょっと静かに見ていてくれるとなお有り難い。その他、流氷観測船を繰船するシミュレーションや流氷に関する展示などを見て、オホーツク流氷館を後にした。
次は天都山を来たときとは反対側に下り、「網走監獄」に向かう。網走監獄は、現在も刑務所として使われている網走刑務所ではなく、昔に網走刑務所に使われていた施設や建物を移設あるいは再現し、博物館にしたものである。建物の中には、網走刑務所の歴史や、囚人の扱いを展示してあったり、人形を使って当時の様子を再現していたりする。特に人形を使った再現はリアルで、ちょっと気持ち悪い。ここの展示により北海道の道路が、犯罪を犯していない政治犯を含めた囚人達の酷使によって完成したということを知り、今まで何も知らずに車を走らせていたのを申し訳なく思うとともに、北海道の歴史について少し認識を深めることができた。
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独房棟にて

子供達が牢に・・

雨は降ったりやんだりの状態がずっと続いている。 こういうときは、宿でゆっくりするに限る。まだ4時少し過ぎだが、今日の観光はここまでとし、ホテルに向かう。今日泊まる網走観光ホテルも大きくてきれいなホテルである。部屋へ案内してもらったが、ここもなかなかきれいである。山側の部屋なので景色は大したことないが、今日は湖側だって大したことないはずだ。
まずはやっぱり温泉である、といいたいがテレビで天気予報のチェックをする。 明日は曇りで、雨の確率は低そうである。ほっと一息。さてさてやっと温泉だ。今日は駿ちゃんとパパペア、奈菜ちゃんと母ちゃんペアである。部屋から「展望大浴場」までは結構距離があったが、ついた浴場はとてもきれいで、おまけに脱衣場も大変広い。もちろん中のお湯舟も広く、サウナまでついている。試しに駿一をサウナに連れて入ったが、もちろん1分ももたなかった。
温泉は透明なお湯で、これだけは昨日の方が温泉らしい。ゆっくりゆっくり浸かって今日の疲れをとる。大きな窓から網走湖が見える。かなり雨に煙っている。本当に明日は雨がやんでくれるだろうか。
風呂から上がって、ゆっくりしたら次は食事である。今日のおかずには、小さいけれどカニが一匹づつ付いている。北海道に来てからカニが大好きになった奈菜は大喜びである。どうやら料理は昨日よりご馳走のようだ。部屋食ではないが、食堂でも全然問題ない。料理が豪華な方がいい。すっかり満腹になった。
photo7 今日も子供達は浴衣を着ている。昨日と違うのは、子供の浴衣の柄と大人の浴衣の柄がお揃いになっていることだ。サイズも昨日の浴衣よりしっくりきているようだ。せっかくだから記念写真を撮ることにする。何が楽しいのか子供達は、はしゃぎ回ってなかなか写真を撮らせてくれない。 やっと数枚写真に収めることができた。
このあたりには温泉街がないので、この後は特にすることもない。寝るだけである。明日雨が上がることを願って。お休みなさい。

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