wood  札幌・小樽  wood

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朝、目を覚ますとすぐに出発準備である。時間は7時半。 このホテルには朝食は付いていない。一階にレストランがあるらしいが、このホテルでは食べる気はない。舗道に止めてあった車(こんなところに車を止めるなよ>ホテル)に乗り込み出発である。
さて今日はおみやげを買う予定になっているがこんな時間にはどこの店も開いていないので、とりあえず「藻岩山」へ行くことにする。その前に朝食の買い出しである。おなじみになったコンビニで、パンを買い込む。そのまままっすぐ「藻岩山観光自動車道」の入り口に向かう。
藻岩山観光自動車道は藻岩山の頂上に続く有料道路である。8時過ぎに入り口に着いたが、ゲートは閉まっている。ゲートは夜中でも閉まらないと思っていたのでこれは誤算である。ゲートが開く時間は9時からとなっている。本当は藻岩山に登ってから朝食を取るつもりであったが、予定変更。ゲートの脇に車を寄せ、そこでテーブルを広げて朝食を食べることにした。
朝食を食べ終わる頃にゲートが開いた。9時にはまだ15分程あるが、他にも待っている人がいたので早めに開けたらしい。急いでテーブルなどを片づけたがちょっと出遅れてしまった。
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藻岩山展望台にて

話では、藻岩山では頻繁に「キタキツネ」が出没するらしい。道路の脇にも「キツネに餌をやるな」という看板が立っている。美瑛以来キタキツネには会っていない。会えるとしたら今が最後のチャンスだろう。道路脇を注意しながら走っていくが、期待もむなしくキタキツネの姿を見ることなく山頂駐車場に着いてしまった。
山頂には展望台があり、360度の眺望が広がっている。少し霞んでいるので遠くの方は見えないが、札幌市街は一望の下に見渡せる。肉眼で北大のポプラ並木は何とか確認できたが、土地勘がないので他は全然分からない。しばらく景色を眺めた後、展望台から降りることにした。
藻岩山を降りて、そのまま札幌市街に向かう。もう10時なので店が開いているはずである。母ちゃんが「ロイズの生チョコ」にこだわるので、札幌駅前の百貨店に行くことにする。ロイズの生チョコに興味が出てきた。
百貨店に行く前に、せっかくだから大通公園を経由して「時計台」に向かう。時計台といえば札幌のシンボルであり、詳しく説明する必要はないだろう。日本三大がっかり名所の一つといわれるが、私はきれいな建物だと思う。はりまや橋よりなんぼかましである。
時計台の近所に路上駐車して観光に行く。といっても今は改修中で中には入れない。ついこの間までは工事のカバーが掛けられていて姿そのものも見えなかったというからまだ良かった方である。時計台の前に行ってしまえば記念写真が撮れないので、道路を挟んだ西側のビルに行く。この二階は、時計台を観光できるようにバルコニーのようになっていて、ここなら記念写真を撮ることができる。
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時計台をバックに

時計台

次は百貨店である。札幌駅のすぐ前のそごうに行く。まず探すのはロイズのチョコである。サービスコーナーの人に場所を聞いて訪れたロイズの店舗はなかなかの人だかりである。ショーケースを見てみると、生チョコは「オーレ」「ホワイト」「ラム酒」「オレンジブランデー」の四種類もある。
店の人に保存法を聞いてみると、15度以下に冷蔵しなければ、すぐ溶けてしまうとのこと。条件は普通のチョコよりはるかに厳しい。車に置いてあるクーラーボックスで大丈夫だろうか。とても不安になる。これからまだ小樽の観光をしなければならない。それに今日はいい天気である。車内の温度は40度をすぐに超えるだろう。クーラーボックスには氷を入れているが、15度を超えない保証はない。
店の前で悩んでいると、東京から来たらしいおばさんが、「ロイズの生チョコはすごくおいしい」とかいって話しかけてくる。北海道に来れば必ず買って帰るそうだ。また聞きもしないのに、「六花亭のチョコは、抹茶とモカがおいしい」などと教えてくれる。見た感じグルメそうなおばさんなので、説得力がある。
よーし溶けて元々で買って帰るか。オーレとホワイトを選び、念のため蓄冷材をつけてもらうことにした。他には六花亭で母ちゃんの友達へのおみやげとしてチョコを2枚づつ(結局さっきのおばさんが言っていたとおりの抹茶とモカ)を買った。
それから札幌駅に行って、パパの会社へのお菓子、奈菜にはラベンダー色の「北海道限定キティちゃん」のキーホルダー、駿一には皮でできた「馬のキーホルダー」を買った。 photo4

北海道限定ラベンダーキティー

さておみやげを買ってしまうと、札幌は終わり。今回の旅の最終地、小樽へ向かおう。初日に小樽から札幌方面に向かうときには札樽道を使ったが、今回は国道を走っていくことにする。札幌市街では道が混んでいるが、きっと郊外へ抜けると道路はすいてくるだろうと思っていた。しかしその予想は外れ、小樽までの道のり、車は延々連なり、気持ちよく走れることはなかった。この区間はやっぱり札樽道を使うのが正解だったようだ。
小樽でまず行くところは、「小樽運河」である。実はそれ以外はどこに行くか特に計画をしていない。決めていたのは今日の夜、小樽で最後の寿司を食おうということぐらいである。
小樽運河に着いて車を停める。さあ小樽運河観光に行こう。小樽運河周辺は観光客でごった返している。人の流れに沿って小樽運河にかかる橋のところに出てきた。ここの橋は、端が広場のようになっていて、ここから小樽運河を眺めることができる。また広場の隅には観光案内所がある。
子供達がトイレに行っている隙にこの観光案内所に寄ってみる。 目的は温泉情報の収集である。話によると、この近所には二件温泉があって、一件は今晩乗る新日本海フェリーのターミナルにあるそうだ。もう一件は反対方向の小樽交通記念館の向こう側にあるそうで、後者の方が施設が新しくきれいだそうだ。これで情報収集は完了である。どうやら今日も温泉にはいることができそうだ。
次に運河に沿って、ガス灯が並ぶ小樽運河散策路を歩いてみる。確かにこの一角だけを見てみると、その昔の小樽の情景が感じられる。夜はライトアップされるそうなので、もっと雰囲気がいいだろう。 photo5

小樽運河

歩いているとお腹が減ってきた。そういえばもう一時を過ぎている。お昼ご飯を食べる場所を探そう。小樽運河の倉庫街は、中味が改装されて飲食店街になっている。そこで倉庫街の入り口側にまわり、店を物色してみる。いろいろな店の中で「小樽ビール」の看板が目に入る。そういえば小樽の地ビールを提供している店「小樽ビール小樽倉庫No.1」がここにあったはずである。
早速店に行ってみる。ピークは済んでいるのか思ったよりすいている。三種類ある地ビールのうち「ヴァイス」は売り切れであったので、「へレス」と「ドンケル」を注文する事にした。料理はウインナーやを注文し、子供達にはドリアを注文した。出てきたビールを飲んでみる。どちらもちょっとあっさりしている。おまけに「ドンケル」は、あまり冷えていないようである。これがこのビールのおいしい温度なのかもしれないが、ちょっと物足りない。
さて次はどこに行こうか。風呂に行くにはまだ早いし、子供の喜びそうな水族館は見るのに時間がかかるだろう。そういえばさっき観光案内所で温泉は交通記念館の向こうにあると言っていたな。交通記念館なら電車も展示してあるだろうから駿一も喜ぶだろう。よし、交通記念館にしよう。というわけで交通記念館に向かうことにする。
交通記念館は小樽市手宮といって、北海道の鉄道発祥地にある。今は駅はないが、昔は手宮駅というものがあって、石炭の積み出しなどで栄えたらしい。
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SL「しずか号」

駐車場に車を止めて、入館券を買い、建物の中の見学から始める。展示室の中にはSL「しずか号」がでんと置かれている。その後方には当時の客車も一緒に展示してある。まずは客車に乗ってみる。当時の一等客車らしいが、もちろん純木製で、今の鉄やプラスチック製と違い高級感が感じられる。ちょっといすに腰掛けて、当時の汽車の旅を思い起こそうとしてみる。
次に、客車を出てしずか号の運転席に乗ってみる。 よく手入れされており、黒光りがしている。 駿一は、運転士になったつもりであろうか、あっちこっちのレバーをさわりまくっている。
二階に上がってシミュレーターをやってみる。船のシミュレーターはゲーム感覚だが、車のシミュレーターは本格的で、実車をほとんど忠実に再現してあり、サイドミラーやバックミラーも映像で写るようになっている。内容は高速道路を走っていて、割り込んでくる車や急に車線変更してくる車を、危険予知をしながら対処していくという、かなり高度な内容である。だから子供達には難しく、奈菜は当たり前として、小学生ぐらいの子供達でも手こずっていた。
その他2階には古代から現在までの船の模型が展示されていたり、レーシングカーや人力車を展示している陸上交通のコーナーもあった。
次に外に出てみる。まず目につくのは静態展示されている列車たちで、蒸気機関車を中心としてディーゼル機関車やディーゼル特急「北海」が展示してある。 子供達は早速運転台に乗り込み、がちゃがちゃし始める。 photo7

ディーゼル特急「北海」

と、遠くから「ポォー」という汽笛の音が聞こえてきた。急いで外に出てみると、向こうの方から蒸気機関車が走ってくる。後ろには小さな客車を引っ張っている。どうやら観光客を乗せて、場内に敷かれたレールを走る本物の蒸気機関車「アイアンホース号」らしい。子供たちはこれに乗りたそうだが、乗ってしまうと帰りの歩きが大変そうだし、帰りもアイアンホース号に乗るとお金もかさむので、今回はパスすることにした。
さて時間は4時過ぎなので、観光はここまでとし、温泉に向かうことにする。北海道最後の温泉である。ゆっくりつかるとしよう。聞いた通り、交通記念館からちょっと行ったところに温泉「湯ノ花」はあった。土曜日であるせいか、駐車場には車が一杯である。脱衣所にはいるとやっぱり人が一杯で、特に近所の小中学生が多いような感じである。学校帰りに寄ったりしているんだろうか。しかし浴槽の中は思ったより混んでなく、北海道最後の温泉を十分に堪能することができた。
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北海道限定サッポロクラシック

さあ後残っているのイベントは夕食を食べることだけだが、フェリーの出航時間は行きと同じ11時半なので、余裕はたっぷりある。さてどうしようかと思ったとき「ビールはどうするの?」と母ちゃんが聞いてきた。そうだ忘れていた。北海道のおみやげとして札幌限定のビール「サッポロクラシック」を買うつもりだったのだ。重たいから小樽で買おうと今まで買わずにいた。そろそろ買わないともう買う機会はないだろう。
小樽の駅前に「長崎屋」があるようなので、そこに行くことにする。駐車場が分からなかったので、とりあえず路上駐車をして私だけ買いに走る。結構広い店内である。うろうろと探し回った末に、車を置いた場所より一番遠い所に酒売場を発見した。 幸い、ここにサッポロクラシックが置いてあったので500mlを1ケース購入し、重い箱を抱えながらエッチラオッチラ車までの遠い道のりを戻っていった。
さていよいよ食事にしよう。今日の夕食のメニューは決まっている。小樽に来た夜と同じく寿司である。やっぱり最後はこれで飾りたい。そこで、最初の夜に訪れた「寿司屋通り」に向かう。
この前、車を止めた立体駐車場はすでに満車で止められない。他の場所を探したところ、幸い空きのある駐車場がすぐに見つかった。
この夜行った寿司屋は、車を止めた駐車場の管理人が奨めてくれた所で(名前は失念)、入ってみると、狭いカウンターがあって、その前にテーブルが一つだけ置いてある。二階もあるようだが、空いているのはそのテーブルだけらしいので、そこに腰掛ける。
注文したのはセットになった寿司で、子供達にはお決まりの駿一にはたまご、いくら、奈菜にはかにを注文する。相変わらず好きなものはたくさん食べる子供達で、特に奈菜はカニを5つも食べた。最後の夜だから思い出話にも花が咲く。子供達は動物園(そんなんどこでもあるやろ)が、清子は知床が良かったそうだ。私は全部良かったが、特に美瑛、釧路湿原、知床が印象に残っている。こんな話をしていると奈菜がいきなり「奈菜、北海道に住めば良かった。」とか叫んで、 店内の人たちの笑いを誘っていた。
北海道最後の食事が終わり、イベントは全て終了である。後は船旅に備えるだけである。コンビニに行ってカップラーメンゃおにぎりなど、船での食料を買い込み、それに氷を余分目に仕入れた。そしてきっちり生チョコをガードするように氷で覆う。これでダメならあきらめもつくだろう。
そしてこの旅の最後の地である小樽フェリーターミナルに着いた。時間は8時半。すでに敦賀行きのフェリーは入港している。帰りの乗船手続きも敦賀ですでに済んでいるのでターミナルビルには寄らず、車の待機場所に車を移動させるターミナルビルから300m程離れた船の真横あたりの場所である。
徒歩の乗船方法を確認した結果、300m程歩いたターミナルビルから一旦階上に上がり、高架になっている歩行者通路をまた300m戻って乗船することになるそうだ。往復600m。子供達が歩いてくれるだろうか。心配になる。何でこんなめんどくさい乗り方をしなければならないんだろう。
車に帰ると子供達は眠たそうで、まもなく寝てしまった。これでは絶対600mは無理である。同乗者を一緒に乗船させない理由は何か知らないが、こうなったら皆一緒に車で船に乗り込もうと決める。
まもなく10時半。乗船開始だ。しばらく待って順番が来たので前に進む。 係員の方に、「子供が寝てしまったんで、全員車で乗らせて下さい」と頼む。「構わないけど危ないから車にだけ気をつけて下さい」ということで無事に全員で乗船することができた。
車を指示通りに駐車し、とりあえず寝入ってしまった子供達だけを抱っこして部屋まで運ぶ。すぐに布団を敷いて子供達を寝かせてやる。その後また車に荷物を取りに行く。車両甲板から部屋までは距離があるので大変だが、二往復して必要な荷物をすべて部屋に運び込んだ。
ばたばたしているうちに出航の時刻が来たようだ。エンジン音が高くなる。部屋は岸壁とは反対側なので岸壁から離れていく様子は見えないが、遠くの小樽の町明かりがちょっとずつ動いているのが分かる。
港と外海の境界を示す灯台が横を通り過ぎていき、小樽の街灯りはどんどん遠くなっていく。ついに北海道とはお別れだ。天気はあまり良くなかったけれど、久しぶりに充実した時間を過ごすことができた。
子供達が、この旅行のことをどれぐらい覚えていられるかは分からないが、きっと少しぐらいは頭の中に残ってくれるだろう。そうであることを祈りたい。もちろん私たち夫婦の間でも忘れられない思い出になるだろう。これは間違いない。
また来年やってきたいが・・、どうなるかは神のみぞ知る・・。
それでは北海道よ、さようなら。

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